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ARUD: i-LOG

建築・都市計画研究者ノリスケの情報記録

コンテクストの読み方/ヴィンセント・ヴァン・ダイセン (A+U 2016.09)

Magazine 建築

建築雑誌A+U (2016.09号)の感想まとめ第2弾。

ベルギーの建築家ヴィンセント・ヴァン・ダイセンの特集です。

 

 

 

建築の基本

ヴァン・ダイセンの建築作品を見ると、建築設計の基本である

「コンテクストを読み、デザインに昇華する」作法を再認識させられました。

 

私のデザインは意志表明ではない。

わたしは革命的である必要も、革新的である必要性も感じない。

むしろその逆である。

私のプロジェクトは伝統への深い敬意を表しており…(本号p17より)

                       

建築家ならば建物の敷地を尊重するはずだ、と普通は考える。

(中略)

ところがこうした分別ある振る舞いができず、

自分の手柄をことさらに主張せずにはいられない

タイプの建築家は案外多い。  (本号p19より)

 

建築設計を学んだ人であれば、おそらく誰しもが最初に

「敷地のコンテクストを読むこと」を教えられます。

しかし、本誌でも指摘されているように、

それがないがしろにされてしまうことはよく見られます。

 

特に、インターネットの普及により情報が氾濫する時代では、

メディアは、よりわかりやすく、よりキャッチ―に、

「わかりやすさ」が重要視されているようなってきます。

それに引きずられるように、建築のデザインも、

「わかりやすさ」が先行してしまっているのかもしれません。

 

 建築には「新たな価値観を提示すること」も求められるので、

そのために世に理解してもらうことは重要なのかもしれませんが、

同時に「時の流れを超える強さ」が必要だと感じています。

 

 ウィトルウィウスの建築の三大要素「用・強・美」は有名ですが、

学生時代にある教授から

「"強”とは、単に構造的な強さだけではなく、

時間の流れに対する強さsustainabilityも含まれているとも考えられる」

と教えられたことを思い出しました。

 

ヴァン・ダイセンの作品は、

「コンテクストを丁寧に読み、それをデザインにまとめ上げ、

普遍的な美しさと強さを持った建築をつくる」

という基本を再認識させられるものだと思います。

 

 

コンテクストの読み方

本誌では、リノベーションのプロジェクトと新築がそれぞれ掲載されています。

 そして、いずれの作品でも

「どのようなコンテクストをどのようにデザインに反映したか」

が非常にわかりやすく説明されているので、

リノベーションの手法を考える際や

学生にコンテクストの読み方と建築デザインへの反映のさせ方を教える際に

とても参考になると思います。

 

たとえば、

DC-Ⅱレジデンス(p90-101)や「BSレジデンス(p62-73)の

伝統的な配置を継承すること

f:id:arch_imput:20160916125832j:plain

DC2 Residence / Vincent Van Duysen Architects | ArchDaily より

 

ユースホステル(p74-81)の

列柱のデザインとグレーの天然石の素材を用いて、景観を調和させること

 

などなど。

 

 

素材とディテール

 伝統的な要素をしっかりと取り込みながらも、

ノスタルジックで古臭いものではなく、

美しさや新鮮さがしっかりと表されているように感じられるのは何故か?

と考えてみると、

素材のセレクトと丁寧なディテールのつくり方にあるように思います。

異なる素材の取り合いの納め方がとてもキレイです。

 

特に見入ってしまったのは、p145のTRレジデンス内部。

異なる角度の天井、白い壁面、木の開口部の取り合いの納まり。 

 

もう少しじっくり読み込んで、勉強したいと思います。

 

 

 

雑誌の感想をブログに記録するのは、

自分にとって結構良さそうです。

流し読んでいたものをしっかり意識できるし、

後で遡りやすいし。

今月のその他の雑誌や来月以降も

ちょくちょくまとめていきたいと思います。

 

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